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No.19 「政治的に正しい?」 2002/2/5

"Politically Correct" という言葉を知っていますか?
『政治的に正しい』が直訳かな。
 
政治的に活動が盛んなグループの反感を買わないよう、言葉に気をつけて話をする、というのが由来。
 
ごく簡単に言うと『偏見や差別を招く言葉を使わずに、できるだけ丸い表現を使う』と言ったところでしょうか。日本でも見られるようになった動きです。
 
"Politically Correct" は、1990年頃から話題になり始めました。
 
初めは大変に奨励され、一時はアメリカ人の教養のように扱われていたのですが、ここ最近は"Politically Correct" の度が行き過ぎて、ジョークのネタになる事も多いようです。
 
皆さんも良くご存知なところでは『"Stewardess"-スチュワーデスの事を "Flight Attendant"-フライト アテンダント[客室乗務員]と呼ぶようになったこと』ですね。
 
現代は誰でも、男女を問わずどの職業にもつけるわけですから、その呼称が"Politically Correct"なわけです。
 
もうひとつ、"Fireman"、つまり「消防士」に男性を意味する"man"がついてるのは、これも"Politically Correct"ではありません。
だから今は" Fire Fighter"--「火と戦う人」と言います。
 
その他には『"Handicapped"「ハンディキャップ、障害のある」という言い方は失礼である』という意見から"Physically Challenged"「身体的に挑戦された人」。
 
ここらヘンまではいいのですが、冗談なのかホントなのかわからなくなってくるのが、
ここから。
 
"Poor" 「貧乏人」は、"Economically Unprepared" 「経済的な準備がない人」。
 
"Ugly"「ぶさいく」は、"Cosmetically Different"「美容的に違う人」。
 
"Unemployed" 「失業した」は、"Involuntarily Leisured"「心ならずも暇がある」
....と言うそうです。
 
というわけで、アメリカでは、"Politically Correct"である言葉を心がけて使うのがどんなに重要か感じてもらえたでしょうか。
 
その反動か「なんでも好きな事を好きなように言ってやろう」という趣旨のトーク番組が夜中にABCで放送されています。
 
その名もP.I.(Politically Incorrect)『政治的に正しくない』。
 
初めて見た時、「そんな事まで言っちゃっていいわけー!?」とのけぞりそうな内容に少し驚きました。意見が違う4人のゲストが、コメディアンの司会者を中心に討論する番組です。
 
最近米国では、表面的には"Politically Correct" を気にするあまり、本当の問題が表面に出難くなってきています。
だから、この番組が諸問題に蓋をせずに冗談を交えながら、鋭く問題を浮き彫りにしていく点が実際になかなか面白いし、私個人はかなり高いを評価をしていました。
 
口に出さなくても、まだまだ「性差別」「人種差別」「環境問題」「貧困問題」等は山ほどあるわけですから、それについていろんな意見をぶつけ合うのは、その意見が正しくても、正しくなくても健全だと思うのです。
 
ところが、今回の戦争の余波で、一時期番組のホストをつとめていた Bill Maher のコメントに「『Politically Incorrect』すぎる」という抗議が殺到し、放送が一時中止になる事件がありました。
 
ここは、自由の国アメリカ、多民族の国アメリカです。
「多数意見と違う意見を言う」または「政治的な冗談を言う」事だけで叩かれ、仲間はずれにされて意見が言えなくなる。そんな事がこんなにいとも簡単に起こってしまう、つまり世の中がこんなに簡単に戦争モードに変わってしまう事に、私は呆然としました。そして、怖くなりました。
 
「それは言語統制だ」という、ニューヨーク・タイムス等からの多くの抗議もあり、 番組はすぐに再開されました。しかし、ちょっと笑えないアメリカの....いえ、人間の集団行動の一面を垣間見たような気がしました。

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